妊活に欠かせないビタミンB群の作用と葉酸
妊娠に必要となる代表的な栄養素「葉酸」もビタミンの一種
ビタミンはミネラルと並ぶ妊活に必須なる大切な栄養素です。美容方面でも注目度の高いものですが、妊活で用いる際には、
- 妊娠力を向上させる
- 抗酸化作用によってホルモンバランスを整える
- 胎児の脳形成を支える
という3つの効果を期待することができ、それぞれ効果の異なるビタミンA、B群、C、D、Eをバランスよく食生活やサプリメントで摂取していくことが大切です。
妊活中や不妊治療中、それに妊娠中や授乳期間中にも摂取が推奨される葉酸も、ビタミンB群の一種になります。この葉酸は胎児が抱えてしまうリスクの1つである神経管閉鎖障害の発症率を下げる効果があるもので、先天性の障害や死産、流産の確率を低くすることが可能です。
妊活中のかたが身体に葉酸を満たしておくことで、卵子や精子の染色体異常率を下げることができ、健康な受精卵が着床しやすくなりますので、妊活中のかたは女性で400μg、男性も240μgを目安に摂取がすすめられています。
葉酸を摂取できる食材には、
- ブロッコリー
- ホウレン草
- 枝豆
- 鶏レバー
- イチゴ
などがありますが、水溶性ビタミンのため水に溶けやすく、1日の必要摂取量全てを食生活だけで摂ることは難しいため、サプリメントで補っていかなければなりません。
ビタミンB群とはどんなものか
- チアミン
- リボフラビン
- ナイアシン
- パントテン酸
- ビタミンB6
- ビオチン
- ビタミンB12
- 葉酸
これらのビタミンB群はそれぞれが単独で作用するのではなく、総合的に身体に働きかけるのが特徴です。妊活に欠かせない葉酸も他のビタミンB群と同時に摂取しなければしっかりと吸収させることができません。主に代謝ビタミンと呼ばれているもので、不足してしまうと卵子と精子の質が悪くなってしまうとされています。アルコールや糖質の分解の際に大量消費されてしまうため、お酒や甘いものが好きなかたは要注意です。
また、ビタミン群は神経伝達物質形成に関わるもので、精神安定をもたらす作用もあります。睡眠の質を高めたりストレスを緩和する効果は活性酸素を減らすのにも役立ちますし、心身ともに健康でいられるということは作られる卵子と精子も健康にすることに繋がるということです。しっかりとビタミンB群を摂取している母親の母乳を飲んでいる赤ちゃんは、夜鳴きも減るという報告もあります。
妊娠力を高め不妊治療にも用いられるビタミンE
ホルモンバランスを整える
ビタミンEを多く含む食材
- アーモンド
- 落花生
- ホウレン草
- サツマイモなど
ビタミンEは妊娠する力を高める効果のあるビタミンで、
- ホルモンバランスを整えて排卵を促進
- 生理不順を解消
- 子宮内膜を厚くする
という効果を期待することができます。
性腺刺激ホルモン放出ホルモンというものが脳下垂体に指令を出すことで、そこから卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモンが分泌されることになり、卵巣からは女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが出されます。ビタミンEには妊娠に欠かすことのできないこれらの女性ホルモンを活性化させる働きがあるため、排卵促進をさせ、子宮内膜の環境を向上させることで妊娠力向上に繋がるのです。
さらに血行を促進させられることで子宮や卵巣にも栄養や酸素が行き渡りやすくなり、着床した受精卵が健康的に育ちやすくなります。こうした作用から、不妊治療のために注射やサプリメントを使ったビタミンE療法を取り入れているクリニックも少なくありません。
一目置かれる抗酸化作用
ビタミンEで注目されるのは高い抗酸化作用です。加齢やストレスなどで身体の酸化は避けることができませんが、ビタミンEを摂ることで卵子や精子を傷つけてしまう活性酸素から守り、細胞を酸化させてしまう老化を予防することができます。卵子や精子も若さを保て、妊娠する力を上げることが可能です。
なお、ビタミンEはビタミンCと一緒に摂ることで効率よく身体に作用させられ、アンチエイジング効果が高いことで美容方面でも積極的に取り入れられる女性に嬉しい栄養素です。
妊活中のストレスを軽減させるビタミンC
ビタミンEと並び高い抗酸化作用
ビタミンCを多く含む食材
- パプリカ
- バナナ
- グレープフルーツ
- モロヘイヤなど
ビタミンEと同様にアンチエイジング作用のあるビタミンCは、卵子や精子がストレスによって質を落してしまうことを予防することができます。
活性酸素は呼吸によって取り入れられた酸素を元に生成されるもので、ウイルスや身体に害のある細菌と戦うのに必要となるものなので、必ずしも身体に害があるわけではありません。ですが、これが増えすぎてしまうことで身体にとっていい細胞にまで攻撃を仕掛けてしまうようになります。これが老化の原因です。
ビタミンEと共に高いビタミンCの抗酸化力は、不必要な分の活性酸素を除去する働きがあります。ストレス軽減作用によって、細胞の若さを保てるのです。
ホルモン生成のサポート
副腎と呼ばれる臓器は、コレステロールを原料としてさまざまなホルモンを作り出す働きがあります。女性ホルモン、男性ホルモン、そしてコルチゾールというものがストレスに対抗してくれるホルモンで、妊活中に溜まってしまいがちなストレスを取り除くためには欠かすことができません。しかし副腎でホルモン生成が行われる際に、大量の活性酸素を発生させています。これを除去するために必要となるのがビタミンCなのです。
ビタミンCを摂ることで活性酸素の量をコントロールしながらホルモン生成のサポートを行うことができます。活性酸素に邪魔されることなくコルチゾールの働きをアップさせられるため、細胞の老化予防に役立つのです。
胎児の形成に欠かせないビタミンA・D
細胞分裂をサポートしてくれる栄養素
ビタミンAを多く含む食材
- かぼちゃ
- 小松菜
- ニラ
- アンコウ肝など
ビタミンAは細胞や骨、そして神経を作り出す材料となるものです。受精卵は着床をした後にどんどん細胞分裂をしていきながら徐々に大きくなっていきます。特に活発な妊娠初期にビタミンAが不足してしまっていると、胎児が発育不全に陥ってしまう危険性があるのです。また、粘膜を強化する作用から子宮内膜を丈夫にしてくれますので、妊娠を継続させやすくなるため流産リスクを下げるためにも不可欠です。
骨を丈夫にする栄養素
ビタミンDを多く含む食材
- サケ
- 干ししいたけ
- しらす
- いくらなど
ビタミンDは小腸で吸収されるカルシウムを効率よく取り入れるのに必要で、骨の健康維持には欠かせません。不足してしまうと母体も胎児も骨が脆くなってしまいますし、早産や出生時の低体重などを招きます。また、免疫力を向上させる働きによって病気のリスクも下げることが可能です。
過剰摂取は避けなければならない
ビタミンは食材で補えるものは食材から、取り入れるのが難しいものは適切な量が毎日摂れるサプリメントを利用して摂取してください。しかし、胎児の身体を作るために必須となる栄養素で不足している現代人女性が多くいながら、同時に摂りすぎには気をつけなくてはならないのがビタミンAとDです。
ビタミンAを過剰摂取してしまうと、誕生する赤ちゃんの奇形のリスクが高まるとされています。基本的には食事から摂取するのが好ましいのですが、不足を感じるようであれば医師に相談の上でサプリメントを摂るのがおすすめです。
また、ビタミンDは紫外線に当たることで生成されますが、多くの女性は紫外線対策を行っていますので基本的に不足しています。サプリメントなどを摂りしぎない限り過剰摂取にはなりませんが、用量を守らないとカルシウム濃度が高くなって腎臓や筋肉組織に石灰化したものが沈着することがあります。腎不全を引き起こして尿毒症になることもありますので、くれぐれも注意してください。